発達の遅れや障害を持つお子さんにとって、触れ合いはとても大切です。
そのようなお子さんは、日頃から自分を他の子ども比べてしまい、
劣等感を感じたり、自己肯定感を低くしてしまっていることが多いでしょう。
そういった負の感情を癒やして、安心感をもたらしてあげるもっとも有効なのは、
抱っこなどの触れ合いや、それを体系化させたタッチセラピーです。
療育では、さまざまなことを早く身につけて自立を目指そうという思いが強すぎて、
一種の訓練のように子どもに強制してしまうこともありますが、そのような態度は避けなければなりません。
子どもは、どんな自分であっても無条件に受け入れてくれる人の存在を必要としています。
そしてそのような人の存在なくしては、自分を肯定的に受け入れることはできません。
自分からやってみよう、と思う気持ちは、自立のための第1歩であり、それは自分を無条件に受け入れてもらう体験から生まれるからです。
そしてそのような体験を基に、子どもは自信をもって自分を表現したり主張することができるようになります。
タッチセラピーは、そのような子どもの心を育み、親子の関係をサポートするためのとても有効な手段です。
ぜひ、多くの方に知って頂き、触れ合いの育児の素晴らしさを体験して頂きたいと願っています。
山口 創 (桜美林大学 心理・教育学系 教授)